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武尊は魔裟斗以来のK-1スターになる。
2階級制覇で見せた強さ、カリスマ性。

posted2016/11/10 11:00

 
武尊は魔裟斗以来のK-1スターになる。2階級制覇で見せた強さ、カリスマ性。<Number Web> photograph by Takao Masaki

ムーブメントを生むためには、競技の枠を超えて輝く選手は必須だ。現在のK-1界にとって、武尊はその役割を担える唯一無二の存在である。

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph by

Takao Masaki

 いま、日本格闘技界で大変なことが起きている。今回はそのことをお伝えしたいのだ。

 大げさでなく魔裟斗以来のスター格闘家、それもスーパースターが生まれようとしていることを。

 11月3日、代々木第二体育館で開催されたK-1。チケットは10月7日の段階で完売していた。大会ごとに高まっているK-1人気、それに拍車をかけたのが、この大会で初代フェザー級(57.5kg)王座決定トーナメントに参戦した武尊の存在だ。

 昨年、スーパー・バンタム級(55kg)の初代王者となった武尊。常にKOを狙うアグレッシブな闘いぶりでファンの心を掴み、大晦日のRIZIN出場でさらに知名度を上げた。いまではバラエティ番組やファッション系の雑誌で顔を見ることも珍しくない。ファン公開形式の記者会見には、若い女性たちが詰めかける。

 それでも現状に満足せず、「チャンピオンとして追われる側になったけど、僕は追いかけるほうが好きなんです」と言う武尊が選んだ新たな挑戦が、2階級制覇だった。

スーパー・バンタム級ベルトを返上してエントリー。

 スーパー・バンタム級のベルトを返上してのエントリーである。今年6月に対戦、その際の記者会見では舌戦だけでなく乱闘まで繰り広げた小澤海斗もリベンジを期して参戦してきた。いや、出場選手全員がK-1で一番の人気選手である武尊の首を狙っていたと言っていい。

 戦前の武尊は「今回はいち挑戦者」と何度も言っていたが、それは自分に言い聞かせていたのだという。そうでなければ、新階級でも“追われる側”のプレッシャーに押しつぶされそうだった。

 だが結果から見れば、武尊は見事にプレッシャーに打ち勝った。むしろ他のどの選手よりも気持ちが強かったと言えるだろう。

【次ページ】 階級を上げても、リングでは絶対には下がらない。

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