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マーリンズのゴードンが薬物。検査をパスする「裏ワザ」とは。~陽性反応を消す薬品で20回以上の検査をパス!?~
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byYukihito Taguchi
posted2016/05/22 17:00
テストステロンなどで陽性反応が出たゴードンは2年連続でオールスターに出場していた。
長年、米球界にまん延してきた「薬物禍」は、依然として消えていなかった。マーリンズのディー・ゴードンが4月28日の試合後、禁止薬物使用のため、80試合の出場停止処分を受けることが発表された。昨季、首位打者、盗塁王のタイトルを獲得したリードオフマンは、その日のドジャース戦で前田健太から同点打を放ち、結果的に初黒星を付けた直後だった。ロッカー室で一報を耳にした同僚のイチローも、「すごいタイミングですね……」と言葉を探すほど、チーム内には大きな衝撃が走った。
パワー全盛の1990年代後半に顕著となったステロイド問題に対し、完全追放を目指す機構側は、これまで幾多の対策を講じてきた。2007年12月には、「ミッチェル・リポート」と呼ばれる報告書を発表。使用歴が認められた89選手の実名を公表した。その後、尿検査に加え、血液採取まで拡大したほか、出場停止試合数などの罰則も段階的に強化した。2013年にはライアン・ブラウン(ブルワーズ)をはじめ、アレックス・ロドリゲス(ヤンキース)らスター選手の使用歴を摘発。ロドリゲスに翌'14年、全162試合の出場停止処分を科すなど、厳しい監視体制を確立したはずだった。