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底辺で生きるボクサーの“滅びの道”を描くカルト作。~裏返しのアメリカンドリームの余韻に浸る~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2016/02/03 08:00

底辺で生きるボクサーの“滅びの道”を描くカルト作。~裏返しのアメリカンドリームの余韻に浸る~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『陽の沈む街へ』レナード・ガードナー著 安岡真訳 東京書籍(重版未定・長期品切れ)

 2002年、スポーツ・イラストレイテッド(SI)誌の4人の編集者が「古今のスポーツ本トップ100」のリストを作った。この種のランキングは人によって様々だが、SI誌は「編集者たちが愛する作品」としてリストを掲載した。本書は22位に挙げられたボクシング小説。ベスト1がボクシング・エッセイ集『スウィート・サイエンス』で、以後ボクシング物はなく、本書がボクシング小説最高作とされた。“敗北する男たち”を描く無数のハードボイルド小説群の系譜に連なる作品。カリフォルニアの農場地帯に接する町の底辺に生きる2人のボクサーの物語だ。1人は再起をかけた試合に勝つことで、去っていった妻とよりを戻そうとする29歳のタリー。もう1人は新婚家庭を支えようとプロ・ボクサーを目指す18歳のアーニー。日本のスポーツ小説に定番の根性、友情、絆などの道具立てはもちろん劇的な筋立ても一切ない。苦しい生活に痛めつけられても、なお、ボクシングに小さな夢を託すことをやめない2人の男とその周囲の男女の営みが、観察記録の冷静さで力強くつづられる。アメリカでなければ生まれようもない作品と言ったらいいか。

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