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森保ジャパン準優勝はよく戦ったが、
痛かったイラン戦後の心の緩み。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/02/02 18:30

森保ジャパン準優勝はよく戦ったが、痛かったイラン戦後の心の緩み。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

準優勝に終わった、という経験はいつか生きる。森保ジャパンの初黒星は次へのステップになるはずだ。

一度も決定機を作り出せず。

 相手の動きに合わせてマークを受け渡すのか、最後までついていくのかがあいまいで、MFとFWのローテーションだけでなく左右のポジションチェンジもひんぱんなことが、さらなる混乱を招いた。

 12分に喫した先制点は、アルモエズ・アリのスーパーなオーバヘッドだった。大会通算9ゴールで得点王とMVPに輝いたこの22歳の名前は、これから何度も聞くことになるだろう。それはともかく、4-2-3-1と3-3-2-2のミスマッチを埋められないなかでの失点は、決して偶発的なものではなかった。

 次にネットを揺らしたのも日本ではない。27分、ペナルティエリア外からアブデルアジズ・ハティムに決められた。ゴール左上スミを射止めた左足のシュートは、GK権田修一にはノーチャンスの一撃である。とはいえ、相手をつかみ切れないまま時間が過ぎていたことを踏まえれば、これもまた不可避な失点だった。

 攻撃のスイッチとなるタテパスをテンポよく通され、ワンタッチでさばかれることでボールの奪いどころを定められず、勢いを持って飛び出してくる2列目、3列目の選手を止めらない展開は、前半終了まで続くことになる。日本は一度の決定機も作り出せず、ポストに助けられて3点目を防ぐことができた。0-2で前半を終えたのは、幸運に恵まれていたのである。

個においても優勢に立てない。

 後半は異なる展開となった。前線から相手をハメて、ボールを奪えるようになる。ただ、今大会無失点で決勝に辿り着いたカタールから、3点を奪うのはイメージしにくい。

 準決勝のイラン戦でズバ抜けた存在感を発揮した大迫勇也が、最前線で起点になりきれていない。南野拓実、堂安律、原口元気の2列目が、相手の守備ブロックを剥がせない。組織だけでなく「個」においても、日本は優勢に立てていなかった。

 62分、森保一監督が交代のカードを切る。原口を下げて武藤嘉紀を送り込む。武藤が南野よりFWに近いポジションを取り、南野は左サイドへスライドする。ここまでノーゴールの南野を残した判断は、69分のゴールへ結びつく。

【次ページ】 ジョーカー不在の悩ましさ。

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