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<現役続行の覚悟>
村田諒太
「ギラギラした自分に、もうなっている」

posted2019/01/22 06:00

 
<現役続行の覚悟>村田諒太「ギラギラした自分に、もうなっている」<Number Web> photograph by Masaru Tatsuki

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph by

Masaru Tatsuki

 昨年10月、ラスベガスで一人の男の夢が散った。
「すぐに答えの出せるものじゃない」と試合後進退の明言を避けた元王者は、1カ月半のときを経て、再びリングへと戻ることに決めた。
 テメエが一番になってやる――。そう駆り立てる原動力となったのは徹底的な他者との比較だった。

 携帯の待ち受け画面は、年末に家族旅行で赴いた海外のリゾート地になっていた。

 ん? 家族は後ろ姿しか写っていない。家族写真というよりも、海をバックにした開放感とラグジュアリー感あふれる部屋全体を写したショット。

 これは親交のある実業家が所有する別荘に招かれた日の一枚だという。

「目に入るだけでモチベーションが凄く上がるよなって。だからこの写真をわざと待ち受けにしているんです。もっと成功したい、テメエが一番になってやるんだと、そういう気持ちを掻き立てるために」

 己に言い聞かせるような荒い言葉。

 2019年の始まりに際し、今年で33歳になった村田諒太はギンギンギラギラの目をこちらに向けた。

 ビッグドリームを、つかめなかった。

 3カ月前、村田はWBA世界ミドル級チャンピオンとしてボクシングの聖地ラスベガスのメーンの舞台に立っていた。指名挑戦者ロブ・ブラントを撃退すれば、トップオブトップのゲンナジー・ゴロフキンと対戦交渉に入ることをプロモーターのボブ・アラムが明かした。開催場所が東京ドームか、ラスベガスになることも。

 前祝いとばかりにオッズも圧倒的に村田を支持した。試合の開催を告知するネオンも世界に発信する村田のPRに見えてくる。村田、ムラタ、MURATA。しかしその名が全世界にとどろく夜にはならなかった。

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ボクシングの前後のコラム

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