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またFAで選手が去る西武の朗報は、
松井稼頭央二軍監督、渡辺GM就任。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/01/06 10:00
2018年のパ・リーグ王者となった西武。主力が複数人抜ける中で若手の台頭に期待したい。
1シーズンを大切にする気持ち。
榎田が阪神戦で勝利投手となった日はうれしかったし、小川が西武で「プロで初めて経験した」という試合後のヒーローインタビューやファンのスタンディングオベーションの話をするときの、きらきらと輝やいていた目やその表情は今年、忘れることができない名場面のひとつだ。
試合とは関係ないが、ファン感謝デーで菊池雄星のために披露するダンス「U.S.A」の振り付けを、舞台袖で何度も練習していた榎田の姿を見て心がじわりと温かくなったものだ。
思えば、毎年、引退や退団で誰かが去り、ドラフト会議を経て新入団選手がやってくる。プロ野球ではどのチームも平等に、全く同じメンバーで戦うことができるのはたった1シーズン限りだ。
だからこそ、1シーズン、すべての時間を大切にしたいと改めて思う1年だった。
戦力ダウンは否めないが。
もちろんFAによる戦力ダウンは否めない。ただ、打点王の浅村が抜けるが、かつて、ライオンズは松井稼頭央がメジャーへ行ったあと中島が台頭し、中島がメジャーに挑戦したあとは浅村が成長したという伝統がある。
投手も同じだ。必ず生きのいい選手が現れる。楽観し過ぎだという意見もあるかもしれないが、毎年、そうやって新しい選手の活躍を楽しみにできるのは、ライオンズファンと担当記者の特権だと無理やり自分に言い聞かせている。
2019年シーズン、辻監督の期待を一身に受けている野手は木村文紀と金子侑司だ。プロ入り後、外野を守ることが多かった外崎修汰を、仮に浅村の抜けたセカンドに回すと外野手のレギュラーポジションが空くことになる。
当然、外野手のチャンスは増える。そこで辻監督は若手中心で臨んだ秋のキャンプへ、あえてレギュラークラスの木村、金子侑の2選手を連れていった。2人の守備と脚力は申し分ない。あとは打撃が課題だと両名もわかっているのだろう。バッティング練習に多くの時間を割いていた印象だ。