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篠山紀信が語る大谷翔平撮影秘話。
「大谷は天から舞い降りた鶴のよう」
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byWataru Sato
posted2018/12/20 17:30
Number968・969号の表紙を手にする篠山紀信さん。楽しそうに撮影を振り返ってくれた。
「翔」がまさに彼のイメージ。
「大谷くん、本当に野球のことしか考えてないんでしょう。どんなに清純に見える人や綺麗なイメージの人でも、会ってみると実は違う、裏がある、ということはあります。でも、彼は全然それがなかった。
だから表紙で、天から舞い降りたんです!(笑) 翔平の<翔>という字がまさに彼のイメージなんですよ。撮影では、大谷選手はこういう人間のはずだ――と、変に枠にはめたりしないことが大切なの。僕は見たまんまの大谷くんを撮ったつもりです。だから、どのカットも表情が自然でしょう?」
僕、写真とか見ないんです。
ひとつ撮影時に印象的なやりとりがあった。
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篠山さんが「大谷くん、すごくいいのが撮れたから見てよ」とデジカメの画面を渡そうとすると、大谷選手が即座に「いや、いいです。僕、一切写真とか見ないことにしているんです」と断ったのだ。
しかも、そのやりとりが2度、3度と繰り返され、2人の言葉が現場の空気を和やかにもしていた。
「そう! あれは新鮮だったねえ。ああいうこと言う人、なかなかいないから。普通は自分がどう撮られたのか見たがるよね?『どんな写真を撮られたんだろう』って。でも、変にかっこつけてるわけではなく、本当に自分の見られ方に興味ない感じで断ったじゃない。
僕が『見ない?』って声かけたのは、大谷くんの自然でまっすぐな表情が撮れたからだったんだけど、断られてガックリしちゃった(笑)。いい写真が撮れたら、一緒に共有したいじゃないですか。でも、素敵な写真が撮れたから、いいの」