ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
大地震2日後、根室のリングで見た
ジャイアントパンダへの声援と笑顔。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGantz Horie
posted2018/09/13 08:00
地震の影響が心配された中での開催だったが、アンドレザ・ジャイアントパンダが出てくると会場は大いに沸いた。
開催が不謹慎ではないかと悩み。
また、「電気が来ない」という物理的な理由だけでなく、この大変な時期にプロレス大会を開くのは不謹慎ではないか、という考えも頭をよぎったという。
「じつは、リングを照らす照明用の発電機を用意してあったので、お祭りの実行委員会の方からは、『もし電気が来なくても、発電機を使って開催したらどうか』というお話もいただいてたんです。
でも、いくら発電機があるとはいえ、周囲の家が停電して、みんなが不自由な生活を強いられている中、自分たちだけ発電機を使ってやることはできないと思ったんですね」
そして例大祭実行委員会との協議の末、「停電が解消されれば開催、解消されなければ延期」という決定がなされた。すると大会前日の夕方には根室市全域でほぼ電気が復旧。ぎりぎりのタイミングで開催へのGOサインが出されたのだ。
「電気が来たときは、本当にほっとしましたね。これでなんとか開催できるって」
将軍KYワカマツは460kmを激走!
また今回の三吉神社例大祭はビッグマッチということで、同じ北海道の芦別市在住で、昭和の新日本プロレス等で活躍した“悪のマネージャー”将軍KYワカマツのゲスト出場も決まっていた。しかし、同じ北海道とはいえ、芦別と根室は460km離れており、出場が危ぶまれていたが、ワカマツは「根室の人たちのために」と当日クルマで6時間かけて駆けつけたのだ。
「ワカマツさんに、大会前日お電話したら『必ず行きますから、安心してください!』と言っていただいて、心強かったですね。76歳であのバイタリティには頭が下がります」
そして迎えた9月8日当日。19時半から開催するプロレスのために、夕方から三吉神社には続々とお客さんが詰めかけ、大地震のわずか2日後に500人以上の人々が集まった。
そして、新根室プロレスの大会は、最初から大盛り上がり。第1試合に登場した、アンドレザ・ジャイアントパンダの“息子”ラジャ・パンダくんは、早くも人気者になり、メインイベントに登場したアンドレザ・ジャイアントパンダの試合では、子供達がみんな大きな声で「パンダ」コールを送る光景も見られた。
とても前夜まで停電で不自由な暮らしをしていたとは思えないほど、500人以上の観客、みんなが笑顔だったのが印象的だ。