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トルシエ「“攻撃的な守備”が方針だ」
アジア大会で見えた森保監督の哲学。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2018/09/11 10:30
アジア大会では、海外メディアが選ぶベストイレブンにも選ばれた身長189センチの立田悠悟。今後、世界レベルに化けるか?
「強度の高い素晴らしい守備」
「日本の守備は最後の5分間、ベルギーの攻撃にうまく対処できずに、結局敗れている。だから私が考えるのは失点を喫しないチームだ。例えばフランス代表がそうで、その戦略は優れた守備のベースの上に構築されている。アトレティコ・マドリーも同じだ。高いレベルでは、しばしばこの戦略が威力を発揮する。
森保監督は『攻撃的な守備』を実践しているのだと思う。
それはボールに対しての守備であり、プレスをかけ相手に戦いを仕掛ける守備だ。相手を攻撃する守備であって決して受動的な守備ではない。エネルギッシュで強度の高い素晴らしい守備だ。
韓国戦ではその戦略をハッキリと見ることができた。激しく抵抗しながら日本は攻撃を仕掛けた。強い連帯感のもと選手たちはよく走り、プレスをかける努力を決して放棄しなかったし恐れなかった」
森保監督も重視した“デュエル”。
――森保監督もヴァイッド(・ハリルホジッチ元監督)同様にデュエルも強調しています。
「選手たちは戦いを恐れなかった。それは当然のことで、戦いを伴わない守備は守備とは言わないからだ。
守備には組織が不可欠だが、相手との関係も当然考慮される。組織はボールの位置に応じて機能する。ボールの危険性というロジックに応じてブロックも動く。
それから相手がいる。
相手もまたボールの位置に対してロジカルに動いてゴールを決めようとする。ボールに対する守備組織とゴールを狙う相手との間のバランスを見いだす。そこには必然的にデュエルが生じる。
決勝を見る限り彼は素晴らしい仕事をした。あれだけの組織化を実現するのは容易ではない。よほど練習しないと不可能だ」