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4人連続で新潟の主将が他クラブへ。
なぜ今、磯村亮太がJ1長崎移籍?
posted2018/08/05 08:00
text by
大中祐二Yuji Onaka
photograph by
J.LEAGUE
15年ぶりにJ2を戦うアルビレックス新潟のキャプテンだった磯村亮太が、7月30日にV・ファーレン長崎へ完全移籍した。26節を終えた時点で17位に低迷する新潟の勝ち点は29。J1参入プレーオフ圏内の6位レノファ山口FCの勝ち点42より、J3降格圏内の21位ロアッソ熊本の勝ち点23までの方が、圧倒的に近い。この苦境の真っただ中での、キャプテンの移籍であった。
去年の夏、シーズン途中に名古屋グランパスから完全移籍で新潟に加入した磯村は、厳しいJ1残留争いの渦中にあったチームのボランチとして16試合に出場。獅子奮迅のプレーぶりだった。新潟デビュー戦となった第19節・FC東京戦で、ピッチに伝わり切らない選手交代の意図をベンチに問いただしたときの鬼の形相が忘れられない。
鋭い寄せでボールを奪い、ダイナミックに展開する。シビアな状況でも落ち着きを失わず、優雅ですらあるボランチは、第32節のヴァンフォーレ甲府戦に勝利しながらJ2降格が決まると、ホーム、ビッグスワンのピッチにへたり込んでしまった。
在籍半年での重責を光栄と思っていた。
今シーズン、チームの再建は、2002年にジュビロ磐田を率いて史上初めてファースト、セカンド両ステージを制し、年間優勝を果たした鈴木政一監督の手に託された。そしてキャプテンに選ばれたのが、新潟に在籍して半年の磯村だった。
「チームがやろうとするサッカーを理解していて、ボランチというポジションもチームの中心になる」(鈴木監督)というのが、その理由だ。
磯村も、「とても光栄なこと。アルビの歴史にとって、今年は本当に重要なシーズンになる。1年でJ1に戻らなければならないし、自分はキャプテンというタイプではないけれど、精いっぱいやる」と、真摯に受け止めた。
開幕のカマタマーレ讃岐戦に1-0で勝利し、4試合を終えた時点で2勝2分けと、滑り出しはまずまずだった。だが、4月に4連敗を喫するなど、チームは安定感を著しく欠いた。その中で、磯村の苦悩も深まっていった。