なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
なでしこ猶本光、ドイツ移籍の覚悟。
尊敬する安藤梢からの教えを胸に。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2018/07/10 11:30
24歳でドイツ移籍を選択した猶本光。先輩・安藤梢がドイツに渡ったのは27歳の時だった。
「梢さんと一緒にプレーして変わった」
ドイツ行きのタイミングが今だと思えたのは、昨年度で筑波大学大学院を修了したことも大きかった。なによりも、「自分が選手として、心・技・体のすべての面でそこに行く準備ができたと思ったから」と自身の変化を確信したからだった。
「まず“心”の部分での変化が大きい。メンタル面でのブレがなくなってきました。以前は試合ごとにいい時もあれば、うまくいかない時もありました。練習ではできていても試合になったらいいプレーができないこともあり、課題を感じていました。そんな中、昨年、(安藤)梢さんがドイツから浦和に復帰し、一緒にプレーするようになって多くのことを変えることができました。
梢さんの動きを見たり、いろいろな話をする中で、どういうプレーをしたら自分が乗れるかとか、試合に入るイメージの作り方も変わった。考え方の面で学ばせてもらったおかげで、ブレなくやれるようになってきました」
「ストレスなく自分の良さを出せている」
昨年の8月、なでしこリーグカップの決勝での出来事がターニングポイントになったという。
「カップ戦の決勝で、試合に入るときの梢さんの様子が全く違うことに気が付きました。ウォーミングアップを終えてロッカーに戻った際、“スイッチ”が入って声がかけられないくらいの雰囲気でした。私はそれができず、試合でもいいプレーができなかった。その日すぐに相談して話を聞かせてもらいました。その方法を具体的に実践してみたら、本当にうまくいき出したんです。
私の場合、まず守備からしっかり入って、相手のキープレイヤーをおさえることを意識して試合に入ると、攻守にわたって周りとも良い関わりができるようになりました。結果、ボールを奪って前に運ぶこともスムーズになって、ストレスなく自分の良さを出せていると感じるようになりました」
スイッチの切り替えを意識したことが、その後のプレーに大きな変化を生み出した。
心の成長と経験にともない、プレーの変化も顕著に表れた。それは浦和でのプレーのみならず、ここ1年間、代表に招集された際の様子も違ってきているように見える。それは、心・技・体のすべてのバランスがとれ、長年取り組んできたことが、実を結び始めた証なのかもしれない。