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コロンビア戦前の「死に物狂い」。
日本代表の言葉には、グッとくる。
text by
鈴木唯(フジテレビアナウンサー)Yui Suzuki
photograph byYui Suzuki
posted2018/06/28 11:20
顔に日の丸ペインティングをした鈴木アナ。日本の突破を信じている!
1勝しても突破しなければ意味がない。
ただ、そのコロンビアに勝ったからと言って、慢心している選手は1人もいませんでした。「まだ1勝しただけで、もう次に向けて切り替える」と話す選手たちの真剣な表情が印象的で、1勝してもグループステージを突破しないと意味がないと、選手全員が理解している様子が伝わってきました。
そして貴重な勝ち点1を獲得したセネガル戦前。ここで特に印象に残ったのは、試合中の采配も光った西野朗監督の姿です。実はセネガル戦の前日会見で、とある記者からこんな質問が飛びました。
「以前、『奇跡でもなければコロンビアに勝てない』と言っていましたが、なぜそんな悲観的になっていたのですか?」
西野監督が外国人記者に語気を強めた。
この記者の方は外国人で、以前の西野監督の発言を少し違った意味合いで認識していたようですが、西野監督の答えに私は少し驚きました。
「(サランスクの奇跡を起こせますかと)聞かれたから、コロンビアを倒すことが小さな奇跡とは言いました。(中略) 奇跡という言葉が1人歩きしている。勝てれば小さな奇跡かもしれないと言っただけで、悲観的に答えた意図はありません」
普段は物静かな印象があり、会見では時々ジョークも交える西野監督が、この時だけはかなり語気を強めて答えていました。
「コロンビア戦のハーフタイムに引き分けでもいいという選手もいました。ただ、自分は勝ちに行く戦術を選手に与えてピッチに送り出しました。2戦目で決めなければいけない。多少リスクがあっても勝つことを目指します」
その後もこう話すなど、クールに見える西野監督が、実はこんなにも熱いものを秘めている人だったのかと驚いてしまうほど、勝つことへの強いこだわりが感じ取れた会見でした。