“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ゴールデンコンビが出会って10年。
香川真司&乾貴士はW杯で再び輝く。
posted2018/06/17 11:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
JFA/AFLO
香川真司と乾貴士。
日本が世界に誇るタレントは、お互いがピッチに立ってこそ力が発揮する“ゴールデンコンビ”であることを実証してみせた。
ロシアW杯前最後のテストマッチとなったパラグアイ戦。西野朗監督はスイス戦からスタメンを10人入れ替え、香川と乾はスタメンとしてピッチに立った。パラグアイ戦のスタメンは現状では“控え組”の位置づけだが、その序列をひっくり返す可能性が出るほど、この2人は躍動感あるプレーを見せた。
もちろんW杯に向けて本気モードで臨んだスイスに対し、パラグアイはW杯に出場せず、はっきり言ってプレーは緩かった。
だからこそ、4-2というスコアでの勝利を手放しに喜ぶことは出来ないが、2ゴールを挙げた乾は、左サイドから切れ味鋭いドリブルとボックス内での勝負強さを見せた。1ゴール2アシストをマークした香川もトップ下で常に動いてスペースを作りながら、ワンタッチプレーで攻撃のリズムを作り出した。
2人は素早いパス交換を組み入れながら、お互いの動きを活かし合った。香川も心地良さそうに左サイドに流れ、乾もサイドから中に入って、フィニッシュも積極的に狙った。テレビ越しでもひしひしと「2人とも楽しそうに会話をしているな」と伝わってくるほど、彼らはピッチ上で濃密な会話を交わし、生き生きとプレーしているように感じた。
関西出身だが、なかなか出会わなかった。
乾は1988年6月2日生まれ、香川は1989年3月17日生まれ。同学年の2人は小さい頃から卓越した技術を持った選手として知られていた。
香川は兵庫県出身だが、中学から宮城へ移ってFCみやぎバルセロナという街クラブで高2までプレー。高3からC大阪でプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた。滋賀県出身の乾はセゾンFCで技を磨き、野洲高校で“セクシーフットボールの申し子”として躍動すると、横浜F・マリノスに進んだ。
同じ関西出身ながら、同じ舞台でプレーすることはあまりなかった。プロに入ってからも、香川が出番を掴んだプロ2年目、3年目はJ2でプレーし、乾は横浜FMでプロの壁に思い切りぶつかった。