濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“世界一の女”浜崎朱加が直面した、
“ジャパン”のRIZINで輝く難しさ。
posted2018/05/13 09:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
5月6日のRIZIN・マリンメッセ福岡大会で最大のインパクトを残したのは、メインイベント登場の堀口恭司だった。
UFCでフライ級タイトルマッチも経験したワールドクラスの強豪は、昨年からRIZINに戦場を移し、バンタム級GPで優勝を果たすなど実力を存分に見せつけている。
今大会では、同じ元UFCのイアン・マッコールと対戦、試合開始からわずか9秒でKOしてしまった。“主役”の出番が9秒ではテレビ関係者は頭を抱えたのではないか。だがそんな事情とは関係なく、堀口の強さは誰が見ても圧倒的だった。
単に勢いで倒したというわけではなく、フィニッシュの左フックは短時間で距離感と相手の攻撃パターンを把握した上でのカウンターである。
試合後には“神童”那須川天心にキックルールでの対戦をアピールしたが、それも決して無謀には思えない。
修斗の新人時代から将来を嘱望されてきた堀口だが、現在の輝きぶりは想像していた以上だ。それだけRIZINの、日本のメジャーイベントの水が合っていたということなのだろう。
RIZIN女子のグレードを上げる、浜崎の参戦。
実力さえあればスターとして輝けるというわけでもないのがプロスポーツの難しさだ。それを痛感させられたのは、浜崎朱加vs.アリーシャ・ガルシアの一戦だった。
浜崎はアメリカの女子MMA団体インヴィクタFCでアトム級チャンピオンになった選手で、UFC女子には同階級がないため事実上の世界一だ。日本ではコアなファンしか気づいていなかったが、浜崎が成し遂げたことは快挙にほかならない。
RIZIN女子戦線のグレードを一気に引き上げるとも言える浜崎の参戦に、高田延彦統括本部長は“女版堀口恭司”という表現を使った。浜崎自身「世界一(の実力)を日本で見せたい」と意気込んでいた。榊原信行実行委員長は「一戦目は圧勝してほしい」と言っていたほどだ。