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ジャンボ尾崎の誰とも違う生き方。
永久シード権と「プロとして適切」。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/05/02 07:00
尾崎将司71歳。AONと呼ばれた青木功、中嶋常幸がシニアツアーや解説者と活動の幅を広げる一方で、生涯現役にこだわり続けている。
直道「最後かもしれないって思って」
今回の中日クラウンズも万全だったわけではない。
「1週間前にようやくクラブ握れる状態になって、まあ、出るか出ないかもわからないところだったんだけどね、いちおう……きてみただけ。いや、ほんとに。ひどかったんだから。1週間前、やっと(スイングを)できるようになった、というだけの話。なんの調整もできない。アイアンなんて、打ち込みゼロだから」
直道がジャンボと同組で回ったのは、じつに5年振りのことだった。それだけに、とても楽しみにしていたようだ。
「こういう組み合わせは、もう最後かもしれないって思っていたから。楽しんで回ったんだけどね……」
それだけに複雑な心境のようだった。
すでに「ボロボロ」を超えている。
「過去3年、何回、棄権があるのよ(計21回)。もうちょっと冷静な見方もあるってことだよ。そんな体調じゃあ、もう(レギュラーツアーに)入ってこれないんじゃないのっていう見方もある。
俺はどっちでもないけどね。生き方は自由だし。特にジャンボみたいな人は特殊な生き方をして欲しいという思いはあるよね」
どちらでもないと言いながら、それはどちらでもあると言っているようだった。もう出場すべきではないと思う一方で、気の済むまでとことんやって欲しいという弟としての願望もある。
プロスポーツの世界で永久シードという本来ありえない権利を与えられているということは、自分で引き際を見定める責任があるということでもある。そこはジャンボ自身が決めるしかないのだろうし、ジャンボもわかっているはずだ。
スポーツ選手の引退は「いいイメージのまま辞める」か「ボロボロになるまで続けるか」の二者択一で語られることがある。ジャンボは、そのどちらでもない。すでに「ボロボロ」を超えている。
そこには、確かに、誰にも真似できない「生き方」がある。