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ハリルも嘆く「どうしてこの時期?」
W杯直前での解任は英断か、愚策か。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2018/04/09 21:00
'16年にJFA会長に就任した田嶋会長。'15年に代表監督となったハリルホジッチ前監督に解任を告げる役とあいなった。
岡田武史監督、関塚隆監督のチームはどうだった!?
2010年南アフリカW杯でベスト16に入った岡田武史監督率いる日本代表も、大会直前まで猛烈な批判に晒されたが、失敗の経験を活かして守備的な戦術へシフトすることで結果を残した。
「谷底の世代」と言われ、2012年ロンドン五輪で関塚隆監督が率いたチームも、本番直前で堅守速攻の形を見出し、ベスト4に入った。
2015年3月の就任直後から「デュエル」という言葉とともに球際での力強さを求め、「縦に速いサッカー」を徹底させてきたハリルホジッチ監督も、ロシアW杯本番から逆算してチームづくりをしてきたはずだ。
W杯アジア予選では通用した守備戦術が予選突破後は機能しなかったのは事実だが、この失敗を経てチームをどう修正させていくかが、ブラジルW杯でアルジェリアをベスト16に導いた指揮官の、腕の見せどころだった。「どうしてこの時期に?」という感想が漏れるのも、当然だろう。
次々出てくる、解任までの経緯に対する疑問。
田嶋会長は継続性を捨ててでも監督交代に踏み切った理由をこう説明した。
「残り2カ月しかないと考えると、この時期、状況だからこそ、この決断をした。そのくらいの状況になっていると私は認識していました。常に監督を代えるリスクはあります。代えないリスクもあります。常に比べながら議論してきました。
やはり私は、W杯で勝つ可能性を1%でも、2%でも上げていきたい。もちろん監督を代えたから決勝まで行くとか、そういうドラスティックなことは期待していません。ただ、今の状況をむざむざ見ているわけにはいかなかった」
議論が尽くされていたのならば、協会と技術委員会は3月の段階でどのようなチーム状態になっていれば、ハリル体制を継続すると考えていたのか。
監督と選手の間に溝があるのなら、それを埋めるために、具体的にどんな対策が為されたのか。
ベルギー遠征を「強化試合」と捉え、テスト的な選手起用が目立ったハリルホジッチ監督に、この2試合の結果次第では解任の可能性があることは伝わっていたのか――。