野球善哉BACK NUMBER
三重に敗れた日大三、志は買いたい。
小倉監督が与えた実戦経験の価値。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/03/29 17:30
継投策がハマらず敗れた日大三。強豪校だからこその葛藤だったのかもしれない。
「ゲームの流れを持ってこれるように」
小倉監督も、そんな林に期待を込める。
「林はいいカーブを持っていますが、その球を打たれた。(甲子園は)甘くはなかったけど、投げたということが財産になると思う。これから林は、アウトをひとつも取れなかったことを頭に入れて練習してくれればと思います。“カーブをもっと磨いて、打たれないカーブを練習しような”と言いました。今日打たれたのは、そういう展開に持っていった監督の責任ですから」
指揮官は敗戦の責任を負っている。だからこそ、小倉監督は自らの采配を嘆いたのであろう。
しかし、林や3番手の河村にとって、甲子園で投げた経験は決して無駄にならないはずだ。
「どんな展開で監督に起用してもらっても、ゲームの流れを持ってこれるようなピッチャーになりたいです」
林はそう言って前を向いた。
勝利と育成の狭間で小倉監督が下した決断が報われる日が来ることを願う。