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貴乃花親方と村田諒太が衝撃対談!
すべては究極の「強さ」のために……。
posted2018/03/29 08:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Takuya Sugiyama
リングサイドに足を踏み入れたスーツ姿の大男と挨拶を交わしながら、同じくスーツ姿のチャンピオンは軽く目を見開いた。
「初めてお目にかかりますが、テレビで見るより大きく感じますね」
チャンピオン、村田諒太は思わず嘆声を漏らす。
「フフフ、最近ちょっと肥えたんですよ」
笑って気さくに返した大男こそは、貴乃花光司。
22年ぶり2人目の日本人ミドル級王者であり、4月15日にはエマヌエーレ・ブランダムラとの初の防衛戦を控えた村田と、22回もの優勝を誇り、いまだ史上最高の横綱の伝説は色あせない貴乃花親方。
競技こそ違えど最強を追い求める者同士の、言葉の異種格闘技戦とも言える特別対談が、村田の本拠地・帝拳ジムで行われた。それは、常人にはうかがい知れない深みを垣間見せてくれるものとなった。
壁に胸を密着させて四股を踏めるのか?
周知のように、貴乃花親方は実の父である先代貴ノ花を師匠にもつ。村田が瞠目した貴乃花の強さの秘密のひとつが、その父から伝授されたという「四股」だった。
「私の父はもともと水泳選手で、東京五輪に出るのが夢だったくらいだそうです。それで運動神経にはよほど自信があったんでしょうね。四股なんていうのも、壁にくっついていると身動き取れないじゃないですか。それで四股を踏むのが当たり前なんだと」
「それは壁に背中をつけるんですか?」
「いえ、胸をつけるんです。壁に密着して腰をおとして、足を上げる」
「えぇえ!?(笑)」
村田を驚愕させた、丹田から体の軸を鍛える「四股」、そしてその型から足を進める「摺り足」、突き押しの腰の回転を鍛える「鉄砲」。
貴乃花親方が基本中の基本であり、「それさえやっていれば、どうにかなっちゃう」という鍛錬の奥義が、眼前に実演つきで解き明かされる。