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変化、張り差し、カチ上げが激減。
大相撲3月場所で何が起こってる?

posted2018/03/20 08:00

 
変化、張り差し、カチ上げが激減。大相撲3月場所で何が起こってる?<Number Web> photograph by Kyodo News

首位をひたはしる3月場所唯一の横綱・鶴竜(右)。この戦術の変化は、今後も続くのだろうか。

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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 大相撲には、その時代のトレンドがある。

 たとえば若貴ブームの時代は、曙や武蔵丸といったハワイ勢のパワーが中心だった。

 200キロを超える力士が中心に君臨する、かつてない時代であった。曙を止めるのは難しく、関脇時代の初優勝からわずか2年で7回の優勝をさらった。

 貴乃花は彼らに対抗すべく、その攻めを受け止めるために体を大きくビルドアップする道を選んだ。若乃花は、彼の持つ稀有な技術を先鋭化させる道を選んだ。そして貴ノ浪はナチュラルパワーで外四つの相撲を取り続ける道を選んだ。

 だが、パワー中心の戦いは力士たちを疲弊させたのか、ハワイ勢と二子山部屋の時代は2000年代に入ると終焉を迎えた。怪我による休場が増え、土俵の中心にいた多くの力士が30代前半までに引退を余儀なくされたのである。

朝青龍のスピードが席巻した時代。

 その後の時代の中心は、朝青龍のスピードだった。

 パワーの時代を打ち破る、圧倒的なスピード。速い力士は過去にも多く存在していたが、朝青龍の特徴は、判断のスピードが桁違いだったということである。

 相手力士は朝青龍の速さについていこうと試みるのだが、朝青龍は彼らの思考の先をいくので、彼らが受けの態勢をとるよりも先に朝青龍が攻めている。朝青龍が圧倒的に攻めているように見えたのは、こういうメカニズムによるものだった。

 そして朝青龍によるフィジカルと思考のスピードに唯一対抗出来た力士こそ、白鵬だった。スピードにスピードで対抗するスリリングな展開は、毎場所のように名勝負を産み出した。

 土俵の中心には必ずその時代を特徴づける相撲があり、力士たちはそれに挑むべく自らの相撲を構築する。大相撲の歴史はこうして作られてきたのである。

 では、2018年の大相撲とはいかなるものなのだろうか。私はこれに注目して大阪場所を観てみると、最近の大相撲には見られない1つの大きな変化に気付いた。

 物議を醸すような取組が、激減しているのである。

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