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渡部暁斗「獲れるものを獲った」
4年前と同じNH銀はLH金への布石。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2018/02/15 11:40
トレイルラン、ボルダリング、ヨガ、マウンテンバイク……、さまざまな練習方法を取り入れ今大会に臨んだ渡部暁斗。
4年前と同じ負け方でも、表情はまるで違う。
5km付近で集団が形成されると、そこからは先頭がかわりつつも、徐々に人数が絞られていく。
9kmでついに4人となり、優勝争いはこのメンバーに絞られた。ゴールまでの距離も残されていない上り坂、フレンツェルが仕掛ける。追う渡部は徐々に差をつけられた。
結局、渡部はフレンツェルに4.8秒差をつけられ、2位でゴール。それはソチの再現を見ているようでもあった。4年前もフレンツェルと激しいトップ争いを続け、最後に突き放されての2位だった。しかし冒頭でも触れたように、その表情は前回とは違うものだった。
「確実に走力の差があるので、ああいう展開になったら厳しい。ですが、今日はわりとうまく走って体力も残せましたし、あそこで来るというのも分かっていました。自分も上りに入る前に加速したのですが……。全部プラン通りでしたけれど、微妙に勝ちきれなかったです」
率直に地力の差があったことを認めた。ジャンプで差をつけられなかった時点で、厳しい戦いになることは想定できていたのだろう。試合結果を冷静に受け止めていた。
メダルで気持ちが切れた4年前。
4年前と同じ銀でも、渡部は心境が異なると語った。
「確実に違うのは、4年前は持っていないものを初めて獲って、ある意味、僕の気持ちは切れていたと思うんですね。でも今はわりと冷静というか、獲れるものを獲ったという感じです。あとは自分が目標としているもの、もう1ついい色のメダルを獲ることに集中できる。そのへんの気持ちの違いがあります」
また、こうも語る。
「メダルを獲れたことは素直にうれしいです。あるのとないのとでは違うし。次は楽になると言ったら変ですけど」