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伊藤みどり×村上佳菜子
「新世代女子はここがスゴイ!」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2018/02/06 08:00
「努力こそ自分の個性なんだ、という思いを」
伊藤 宮原さんは自分に何が足りないか常に考えていて、それを克服するには努力しかないんだという信念がある気がします。努力こそ自分の個性なんだ、という思いを貫いているのがすごい。あれだけがんばっていたら、それは怪我もするよね……。
――彼女は今季、村上さんも演じた『SAYURI』をSPに選びました。
村上 7月の「ザ・アイス」で初めて見ましたけれど、つなぎ方や曲の編集も含めて、知子ちゃんはこんなふうに『SAYURI』を表現するんだ! って、すごく刺激になりました。彼女には和のテイストが似合いますし、滑り込んでいけば、もっと素晴らしいものになっていきそうです。
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――もうひとりの本郷選手はどうでしょう。
村上 昨季は、繰り上げで出場となった世界選手権や四大陸選手権で思うような成績が残せず、苦しいシーズンだったと思います。でもそれを乗り越えた今季は、すごく生き生きとしていますね。
伊藤 スケートを続けていくうえで、苦しい時は必ずやってくるし、それをどう乗り越えていくかがとても大事。本郷さんみたいに、苦しい波を乗り越えた人が絶対強い。
村上 今季に入ってジャンプもすごく安定してきました。あとプログラム。SPの『カルミナ・ブラーナ』とFSの『フリーダ』はどちらも、羽生結弦選手の振付なども手がけるシェイ=リーン・ボーンによるものですが、彼女はすごくシェイのプログラムが合っているなあ、と感じました。
「確かにみどりさんっぽいですよね」
――続いてはシニア2年目になる樋口新葉選手。みどりさんも得意としたトリプルアクセルへの挑戦も、よく話題にあがります。
村上 確かにみどりさんっぽいですよね。滑りがパワフル。一緒に練習をしたことがありますが、負けん気を感じます。彼女はジュニアからシニアに上がるころに、何があったの!? ってぐらい成長を感じました。得意のジャンプよりも、スケーティングのつなぎの魅せるところがとてもよくなっていて、びっくりしました。すごく変わってきています。
伊藤 新葉ちゃんと本田真凜ちゃんは揃ってジュニアで注目されてきた2人。去年春の世界ジュニア選手権では、初出場の真凜ちゃんのほうが優勝して新葉ちゃんは3位でした。そこで悔しい思いをしたのが、成長につながったのかもしれないね。そのあとすごくパワーアップした印象があります。