濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
元アイドル“ジャンボ”が全日本に!
有田ひめか、プロレスラーへの道。
posted2018/01/29 16:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
全日本プロレスが1月25日に開催した新木場1st RING大会では、第2試合に女子のシングルマッチが組まれていた。「アクトレスガールズ」の選手による試合で、その中心選手である万喜なつみと新人・有田ひめかの対戦だった。
小会場での、全日本プロレスの“本筋”とは関係がない試合だが、有田にとっては生涯忘れられない経験だったはずだ。
この試合は公式な対戦カード表で、『有田ひめか全日本プロレスデビュー戦』と銘打たれていた。
“応援大使”アイドル・スルスキの本気。
有田は、もともとアイドルだった。
お笑い芸人の田村淳が企画したツイッター発のグループ「スルースキルズ(スルスキ)」のメンバー。コンセプトは「(スルースキルがあるから)罵っていいアイドル?!」で、有田は体が縦にも横にも大きいため“ジャンボ”が愛称になった。スルスキ用語でいう「罵りワード」というやつだ。
ジャンボがスルスキに4期生として加入した2016年、グループは全日本プロレスの応援大使として試合前のリングでパフォーマンスを披露するようになった。
鶴田以来の“ジャンボ、全日本マット登場”だ。いや実際、彼女たちはレスラーばりの本気でリングに上がっていた。
全日本は秋山準社長の新体制で“老舗復興”の真っ最中。アイドルがもたらす明るさは助けになったのではないか。一方、売り出し中のスルースキルズには人目に触れる機会がとにかく必要だった。
この年の両国国技館大会、出番前のメンバーが円陣を組んでいるところに出くわしたのをよく覚えている。
「こんなにたくさんの人に見てもらえる機会はめったにない。絶対にインパクトを残して、ここから上を目指そう!」
そんな言葉で気合いを入れていた。
気持ちは会場のプロレスファンにも確実に伝わり、大会ごとに拍手が増えていく。ツイートや言葉の端々から本当にプロレスが好きになっていることが分かったし、他団体の会場にプライベートで来るようになったメンバーもいた。
ジャンボもその1人だ。