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石川遼と松山英樹。それでも2人が
終生のライバルである理由。
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/01/20 08:00
アメリカツアーでの苦戦を受け入れて、次のステップに進もうとする石川。吹っ切れた表情に見えた。
「いつか英樹に、競ったら負けねえぞっていう」
その推察を後押ししたのは、石川が対談の最後に口にした言葉だった。いつか、アメリカで失ったものを取り戻し、足りないものを身につけた時、彼には実感したいことがあるという。
「最後は自分が勝つと100%信じられるかどうかが大事で、いつか英樹に対しても、そういう風に思えるようになっていきたいなと思うんですよね。向こうの方が圧倒的に飛んで、曲がらない。アイアンもピンに行くかもしれないけど、競ったら負けねえぞっていう」
これを聞いて、思ったのだ。
石川は松山がいたから、これまでアメリカにこだわり、松山がいるから、この先、またアメリカに戻るのではないだろうか。
石川遼がプロになって10年。かつてゴルフの枠を超えた国民的スターと1人のアマチュア選手だった関係は今、世界で五指に入るトッププレーヤーと再起を期す大勢の中の1人というものに変わった。その現実を直視して、大人になった石川遼は新たなスタートを切る。
この先の10年、2人の関係がどう変わっていくのか。お互いをどう映し出していくのか。勝敗を超える密かな楽しみを発見できた気がして、しばし、その余韻に浸った。
20代後半を迎えた石川遼――。彼が丸山茂樹氏に今の思いを包み隠さず語った対談はNumber944号でお読みください。また、松山英樹が中嶋常幸氏とメジャー制覇やトレーニング論について語り合った対談はNumber942号に掲載。対照的に見えたり、時には似ているように見えたりする同い年の2人が今、何を思っているのか。ぜひ、確認してみてください。