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スターホースは「できすぎ」を呼ぶ。
キタサンブラックの有馬記念を占う。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2017/12/23 08:00

スターホースは「できすぎ」を呼ぶ。キタサンブラックの有馬記念を占う。<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

有馬記念が行われる中山競馬場の直線は短い。内枠も含め、キタサンブラックに追い風が吹いている。

スーパーレコードはバクシンオーの血ゆえ?

 ところが、3000mの菊花賞を勝ったと思ったら、3200mの天皇賞・春を連覇し、しかもディープインパクトのレコードを更新してしまった。

 突然変異のひと言では片づけられない驚異的な走りで、「血の常識」を吹き飛ばした。

 血統がどうあれ、キタサンブラックという「個」のサラブレッドは、長距離でも恐ろしく強い――という現実を私たちが受け入れるまで、時間がかかってしまった。

 しかしいったん受け入れてしまうと、面白いもので、天皇賞・春のスーパーレコードは、バクシンオーから受け継いだスピードがあったからこそ記録できたのではないか、とも思えてくる。

オグリとディープのラストランで勝った2つの有馬。

 武豊の有馬記念での成績は、26戦して1着2回、2着8回、3着1回、着外15回(2010年の出走取消は除く)となっている。

 2勝は、1990年のオグリキャップと2006年のディープインパクト。どちらも国民的スターホースのラストランだった。

 オグリは、天皇賞・秋6着、ジャパンカップ11着と惨敗がつづき「燃え尽きた怪物」と呼ばれるようになっていた。しかし、武が同年の安田記念を勝って以来の騎乗を引き受け、全盛期の闘志を呼び覚まして優勝。「奇跡のラストラン」として伝説となった。

 ディープは、凱旋門賞で3位入線後失格。帰国初戦のジャパンカップで復権を果たし、引退レースを迎えた。コントロールしやすい馬ではなかったので、勝ってもゲートでつまずいたり、道中掛かったりと、完璧なレースはできずにいた。それがラストランにしてついに完成され、「最強馬のベストレース」を披露した。この有馬記念も今年と同じくイブのグランプリだった。

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