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1.4東京ドーム前哨戦の果てに……。
IWGP王者オカダ・カズチカの焦り。
posted2017/12/08 08:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカにとって内藤哲也との1.4東京ドーム大会に向けた連日の前哨戦は、なにか煮え切らないものがあった。
タッグマッチや6人タッグマッチ、あるいは10人タッグマッチなどという様々なスタイルでの前哨戦は、タイトル戦の価値観とは離れているように感じられた。
勝っても負けても、一夜が明ければまたすぐに次がやって来るというわけで、余韻を味わうというよりは、逆に面倒くさいようなストレスが積み上げられる環境でもあった。
それは「オレはあせっているんだよ」というオカダの言葉に表れていた。
もちろん、内藤の「あっせんなよ」に対するオカダ流の言葉のやり取りではあるのだが、内藤にいいようにかき回されているという実感が、この言葉を引き出したともとれる。
最近、徐々にオカダのペースになってきた!?
新日本プロレスは「ワールドタッグリーグ」シリーズを開催中だが、オカダも内藤もそれにはエントリーはされず、ひたすらドームへの前哨戦を続けている。
前哨戦は言い換えれば、1.4へのキャンペーンだ。
このシリーズの前半戦は内藤にいいようにあしらわれていたオカダだったが、ここにきて、オカダがひっくり返しに出た印象だ。挑戦者の内藤ペースから、流れは王者オカダの手の内に少し入ってきたように感じる。
そのターニングポイントは11月30日の後楽園ホールだった。
この夜の前哨戦は6人タッグマッチだったが、最初に仕掛けたのはオカダだった。いきなり、内藤をジャーマンスープレックスで投げ捨てた。王者としてじっくり構えているオカダというスタイルからは、驚きに近い奇襲であった。