福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
レバンドフスキ、マネ、ハメス……。
福西崇史が語るH組の要注意人物。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2017/12/05 11:30
バイエルンでチームメートとして戦うハメス(左)とレバンドフスキ。コロンビアvs.ポーランドの直接対決も、日本の命運を握る可能性がある。
W杯のような短期決戦では結果こそがすべて。
確かに力関係、そしてコロンビアと戦うのは初戦だから引き分けでもOKという考えがあるかもしれないけど、その後のセネガル戦、最後のポーランド戦で少なくとも1試合は勝ちが求められる。もし決勝トーナメント進出を決めたとして、ポーランド戦で100%の力を出し切る戦いをしていたら、決勝トーナメントでの戦いに影響が出てしまう。
何よりW杯のような短期決戦では、結果こそがチームに勢いをもたらします。前回のブラジル大会(コートジボワール戦/●1-2)、僕らが出場したドイツ大会(オーストラリア戦/●1-3)と逆転負けで勝ち点を落とした2大会は、その後の2試合で波に乗り切れないままグループリーグ敗退に終わった。
逆に南アフリカ大会では直前までなかなか結果が出なかったけど、本番初戦のカメルーン戦では本田の1点を守り切って勝ちました(○1-0)。この結果であのチームは明らかに勢いに乗ったし、自分たちがやるべき戦い方も定まった。だから立て続けに試合をしてもチーム全体がブレることはなかったですよね。結果によってチームが作られていくW杯では、年間通じて戦うリーグ戦とはまた別の考え方が必要とされるんです。
気づけばラインが下がる、という状況は避けたい。
正直なところ、今回のW杯で日本がチャンスに恵まれる時間帯はそう多くないとは思います。チームの課題としては、ボールを奪ってからの攻撃でいかに相手へ怖さを与えられるか。ブラジル戦とベルギー戦の時も指摘しましたが、攻撃に移った時に最前線でボールを収める大迫と他の選手の距離感が遠かった。これでは大迫のキープ力がいかに高くても厳しい。
強豪国、ワールドクラスの選手とマッチアップすると、どうしても受け身の対応になる。そうすると、プレーしている自分たちはそう感じていなくても、実際はライン全体が引いてしまう。ブラジル戦がまさにそうでしたが、ただ押し込まれ続ける状況は避けたい。
だからこそ相手アタッカーを警戒すると同時に、周囲がもっと素早くサポートする。コロンビアを慌てさせるほどの精度とスピードを作り上げられるか。個人能力ではグループ内最強だろうコロンビアにリベンジを果たすために、まずは初戦に全力を注いでほしいですね。
(構成:茂野聡士)