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妙に連覇、連続2着が多いマイルCS。
タイキシャトル血統、あの馬は買い?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2017/11/18 09:00
短距離路線で国内外GI5勝を挙げたタイキシャトル。マイルCS連覇はその強さを象徴する勲章だ。
マイルCSとスプリンターズSを圧勝した名短距離馬。
タイキシャトルは、1994年にアメリカで生まれた。父はデヴィルズバッグ、母はアメリカとアイルランドで15戦5勝の戦績を残し、タイキシャトルの主戦だった岡部幸雄も騎乗したウェルシュマフィン。
当時、外国産馬はクラシックに出走することができなかったため、タイキシャトルは旧4歳だった1997年、かなり特異なローテーションを歩むことになった。
1997年4月、東京ダート1600mの旧4歳未勝利でデビュー勝ちし、5月の京都ダート1200mの500万下で2勝目を挙げる。調教で追ったあとに向こうずねを痛がったこともあり、少しでも脚元への負担を軽くするためダート戦が選ばれたという。
6月、東京芝1600mの菖蒲ステークスで3勝目をマーク。しかし、7月、阪神芝1400mの菩提樹ステークスで2着となり、初めての敗戦を喫する。次走、10月4日に東京ダート1600mで行われたユニコーンステークスで重賞初勝利を遂げ、中2週のスワンステークスで芝重賞初勝利。その勢いで、マイルチャンピオンシップとスプリンターズステークスを圧勝し、8戦7勝で旧4歳シーズンを終えた。
年度代表馬の座こそ女傑エアグルーヴに譲ったが、古馬の強豪をたやすくひねる、卓越したパフォーマンスを見せつけた。
クールな岡部幸雄も涙した海外GI制覇。
旧5歳になった翌1998年も圧巻だった。
年明け初戦の京王杯スプリングカップをレコードで完勝し、次走、不良馬場となった安田記念を先行して抜け出す力強い競馬で勝った。
そして、フランスに遠征し、8月16日にドーヴィル芝直線1600mで行われたジャック・ル・マロワ賞に臨む。岡部を背に、楽に2番手につけたタイキシャトルは、ランフランコ・デットーリのケープクロスとの叩き合いを制して優勝。海外GI初制覇をなし遂げた。
前週、同じドーヴィルで武豊のシーキングザパールが芝1300mのモーリス・ド・ゲスト賞を勝ち、日本馬による海外GI初制覇を遂げていた。2週連続で日本馬がヨーロッパの強豪を倒したというニュースは、世界中を驚かせた。
クールで知られる岡部の目に涙があった。