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「妄想ひとりドラフト」5~10位編!
まだまだ残る逸材、目移りと陶酔感。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2017/11/08 07:00
“清宮キラー”のイメージが強い日大三・桜井だが、バットを振らせても抜群の潜在能力を感じさせる。
どうしてこの選手が8位で……という逸材が2人も。
8位で悩むとは思わなかった。
どうしてこの選手が8位で……? そんな“逸材”が2人も指名されている。2人とも、故障が響いた。何ごともなかったら湯浅は4位、5位、楠本なら上位でもおかしくない技術を持った選手たちだ。
健大高崎高・湯浅大内野手(17歳・172cm70kg・右投右打)のフィールディングは、今年のパ・リーグ新人王有力の源田壮亮遊撃手(西武)クラスの高い精度に違いない。打球と接するタイミングの良さ、ほどよいスピード感……スローイングでミスった場面は、ロングでも、ショートでも、関係者すら見たことがない。
この冬の右手首骨折で、肝心の3年生の春を棒に振ってしまった。これがなんとも惜しかった。
プロで10年間3割打てるはずの東北福祉大・楠本を。
それらを踏まえた上で、8位には東北福祉大・楠本泰史外野手(22歳・180cm77kg・右投左打・花咲徳栄高出身)を指名する。
彼の故障はある意味“心の故障”ともいえる。スローイングのリリースポイントでのタイミングが取り戻せれば、間違いなくプロで10年、コンスタントに3割が打てるバッティング技術を持っている。
仮にバッティングで生きていくことになっても、ピンチで打席に迎えたら、相手チームにとって、こんなに怖い打者もいない。それほどに高精度なミートの技術だ。楠本の場合の“ミート”とは、バットに当てることではない。芯で捉えて、ぐんぐん伸びていくライナー性の打球で外野を突破する。そういう次元での“ミート”だ。
これほどの「バッティング名人」が8位だった。そこをバネにした反骨の心にも大きな期待をかけたい。