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「ボウリングに恩返しがしたい」──。
桑田佳祐がNumberの編集長になった理由。
posted2017/10/31 12:00
text by
瀬尾泰信(Number編集部)Yasunobu Seo
photograph by
Tadashi Shirasawa
9月某日。舞台は、都内の某ボウリング場。
ヒリヒリするような僅差の勝負が続くにつれて、戦いを見守るギャラリーの緊張も高まっていく。
通算41勝のレジェンド・矢島純一プロは、的確にレーンの状況を読み取り、熟練のフォームから美しい球筋でストライクを重ねていく。
クールビューティー・名和秋プロは、細身から繰り出す男子顔負けのスピードボールで、ピンをなぎ倒していく。
名和プロとペアを組む新進気鋭の甘糟翔太プロは、ポケットをえぐるようなスピンの効いたパワーボールで、矢島プロとがっぷり四つの戦いを繰り広げる。
そして、もう1人──。
スプリットを見事にスペアで沈めてみせた桑田編集長。
お揃いのボウリングシャツで矢島プロと堂々ペアを組んだ男は、東京ドームや日産スタジアムなど幾多の大舞台で培った強靭なメンタルで、第4ゲームに入るとゾーンに入ったかのようにスコアをつなげていた。
しかし、第8フレームの1投目で3ピン、10ピンを残してのスプリット。絶体絶命のピンチを迎えてしまう。男はまいったなあ、と両手で頭を抱えて、おどけたジェスチュアをみせるが、視線は真剣そのもの。
そして次の第2投、クラシックなフォームから繰り出されたボールは狙いすましたかのように3ピンの右側をかすめると10ピンに向かい、ナイスリカバーのスペア!
「おおおお!」
ギャラリーから歓声と割れんばかりの拍手が起きた──。
おわかりだろう。この男こそ、今回のNumber PLUS「ボウリング場でカッコつけて」で編集長を務め、そのボウリング愛を爆発させた、桑田佳祐さんなのだ。