オリンピックへの道BACK NUMBER
本田真凜、GPデビューのワクワク。
常識を超えた“ぶっつけ本番”を見よ!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2017/10/27 12:10
ジュニア時代から大きく報じられ続けた本田。ついにシニアの舞台で、自らの力を試す時が来た。
そのときの感情で演じる「一回性」こそ原動力。
濱田コーチがこれまでコメントしてきたように、本田は練習で同じことを繰り返すのは得意ではないし、試合中でも演技が変化する。
完成度を高めるという視点からはマイナスに見える要素を抱えながら、それでも、世界ジュニア選手権で金メダルを手にするなど堂々とトップクラスの選手にまで成長し、シニアに移行するにあたっても、周囲から大きな期待を集める存在となった。
その原動力は、「ノーミスを志す」という一般的な選手の姿勢とは対極にある、そのときそのときの感情で演じる「一回性」だ。それにもかかわらず、大舞台において完璧に演じてみせる勝負強さもあったことがまた、頭角を現す要因となってきた、という事実もあった。
こうやってこれまでの本田の成長の足跡をさまざまな角度から検証してみると……ぶっつけで臨む今回のグランプリデビューのスケートカナダは、実は本田本来の姿勢を取り戻した姿なのだ、ということが分かってくる。
昨シーズンの世界選手権で銀メダルを獲得した地元カナダのケイトリン・オズモンド、同選手権4位のカレン・チェンら強豪選手が集まった今大会。原点に戻った本田が、ショート、フリーのその日、どんな演技を見せるのか――。
「自分に期待して頑張ろうと思います」
シニアでの、本格的なキャリアの一歩が始まる。