濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
RENA、那須川天心に福岡熱狂も……。
RIZINの“常識はずれ”に功罪あり。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2017/10/20 07:30
那須川が試合をやれば、それは名勝負になる……常に観客を沸かせるカリスマは、どこまで成長し続けるのか?
RENAは相手の体重超過を受け入れたが……。
規定では、試合でウィンが勝っても公式結果はノーコンテスト。RENAが勝った場合のみ勝敗が認められる。
しかしこれはRIZIN初の女子GPで、しかも生中継されるメインイベントだ。RENAにしてみれば、自分が盛り上げてきた女子格闘技全体にとっての歴史的な栄光の瞬間。そこに「但し書き」を付けられたくないという思いもあったはずだ。
結果、RENAはウィンの体重オーバーを認めた。主催者側はウィンのファイトマネーの相当額を没収するというペナルティを課したが(今後、RENAに還元する方向で話し合うそうだ)、試合は通常の形で行なわれることになった。つまりウィンが勝てばそのまま準決勝進出となる。
RENA激勝! だが結果オーライではない。
もしかしたら台無しにもなりかねなかった試合は、RENAが凄まじい連打を浴びせ、左のボディブローでフィニッシュした。
試合後の第一声は「シュートボクシングの、そしてRIZINのRENAです」。
今やRENAは“MMAに挑戦するシュートボクサー”というだけでなく、RIZINの屋台骨を支えるエースになったのだ。
とはいえ、この試合が“超法規的措置”で行なわれたという事実は残る。
ウィンの体重オーバーに関する裁定は、大会前のプレスルームで榊原委員長から発表された。榊原委員長としては、過度な減量の危険性も考慮、また250gを重大な体重オーバーとはみなしていないようでもあった。だとしたら“軽微な体重オーバー”へのペナルティがなかったというルール面の不備も問題になる。実際、今後はルールの改正も視野に入れているそうだ。
この緊急の対応について、榊原委員長は「コミッションのある海外ではダメでしょうけど、ここは日本なので」とも語っていたが、それは「誰も止めないからやりたい放題ですよ」と言っているようなもの。過去の発言からも、榊原委員長は“競技”を軽視する傾向が見られる。PRIDE時代からこうしてきたという成功体験もあるだろうし、UFCと差別化しなければという判断もあるのだろう。