“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J2名岐ダービー伝説、パート2。
史上初、前売り完売の奇跡と……。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/10/03 11:00
観客席が満員となった長良川競技場。FC岐阜選手のパフォーマンスも、いやがおうにも上がるというものだ。
岐阜は結局2-6で大敗したけれど……。
岐阜と名古屋、それぞれの想いが交錯した「名岐ダービー」。試合は名古屋が貫禄を見せつけての6-2の圧勝で幕を閉じた。
22分に岐阜が鮮やかな崩しから、DFの大本祐槻が先制。しかし、32分には名古屋MF田口泰士に見事なコントロールショットを決められ同点にされる。岐阜も連動性の高い攻撃を見せ、スタジアムを盛り上げるが、36分にシャビエルに逆転弾を浴びると、1-2で迎えた後半立ち上がり直後にシャビエルに3点目。さらに54分にもう1点追加されてハットトリックを達成されるなど、一気に試合を決定付けられた。
食い下がる岐阜は66分に途中出場のFW難波宏明が1点を返し、名古屋に2点差と迫ったが、84分にMF青木亮太に突き放され、後半アディショナルタイムには途中出場のFW永井龍にトドメの一撃を浴びた。
第1ラウンドを1-1で痛み分けしたお返しとばかりに、名古屋が圧倒的な個人技で差を見せつけての完勝に終わった。
「最高の雰囲気で、本物のダービーだった」
しかし岐阜にとっては、結果だけでなく、このダービーを長良川競技場で行って、スタジアムを満員にしたことに大きな意義がある。
「今まで感じたことがない感覚だった。あそこまでホームとアウェーがくっきりと別れているスタンドは岐阜に来て初めて見たし、チャンスのときの歓声や、取られたときの落胆の声など、プレー1つ1つに対する反応が凄く良く鮮明に聞こえた。最高の雰囲気で、本物のダービーだと思った」(MF風間宏矢)
これまでになく大いに盛り上がった名岐ダービー。岐阜にとって、この街にJクラブがあって良かったと心の底から思える一戦だった。
地方の小都市にとってJクラブは、地元の人たちが1カ所に集い、そこで生きがいと誇りを感じられる場所であるべきなのだ。そういう時間と場所を多くの人達と共有することができるようになれば、その時初めてJクラブは「おらが街のクラブ」となるのだ。
J2に昇格して10年目。岐阜県社会人リーグ参入からのスタートを入れると17年目。今回の名岐ダービーがFC岐阜史上最大の「お祭り」となったと実感できて、本当に嬉しかった。