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池田純に「Number」編集長が聞いた!
球団を5年間で黒字化できた要因とは。
posted2017/10/02 17:30
text by
松井一晃(Number編集長)Kazuaki Matsui
photograph by
SUNNY SIDE UP
――そもそもベイスターズの社長に就任したきっかけは何だったんですか。
「実は昔からスポーツビジネスに興味があったわけではありません。私は横浜スタジアムの近くの病院で生まれ、小学2年生で草野球を始めましたので、野球観戦に行ったことはあったんです。ただ、その後は水泳に夢中になり(注・ジュニアオリンピック出場)、しばらく離れていましたので、横浜の野球って正直、微妙だなと……」
――たしかに、池田さんの子供の頃、横浜は決して強くはありませんでした。
「でも私が子供の頃は、まだスタジアムに行くこと自体が凄い体験価値だったんです。階段を上って開けたところから見えるグラウンドの光景……。1988年にオープンした東京ドームもそうでしたけど、あの高揚感は日本人がまだ味わったことがない、はじめての体験でした。ところが、あれから20年以上が経ち時代は大きく変わっているのに、スタジアムは何も変わっていないし、未だに野球を見せるだけのビジネスが展開されている。それを変えてみたいと思ったんですね」
シンプルだが非常に難しいミッション……「黒字化」。
――社長就任にあたって、親会社のDeNAから何か条件はあったのですか。
「『黒字にしてほしい』、以上ですね(笑)。約6年前にベイスターズを買収するまでのDeNAは、まだ日本でもほとんど知られていない会社でした。だから、新卒の優秀な学生を採用できるようになるためにも、球団を買収することで、親御さんが『DeNAって会社なら入って大丈夫』となるように認知度を上げる。それが親会社の最大の目的でした。その上で、どうにか黒字にしてほしい、でも人は出せない……という状況でしたので、私にはかなり縛りがなかったですね」
――しかし、他球団の経営状況を見ても、単体で黒字の球団は少なかったですよね。
「本当に黒字なのかどうかも怪しいですからね(笑)」