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田臥勇太とライアン・ロシターの縁。
2人の出会いで生まれた相乗効果。
posted2017/09/28 10:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Yuki Suenaga
Bリーグ初代チャンピオンの栃木ブレックスを支えるリーダーといえば、田臥勇太とライアン・ロシターのコンビだ。4年前からチームメイトとして組んでいる2人は、お互いのプレーや性格を理解しあい、その時々のチーム状況を見定めながら、協力して舵を取っている。2人の間にそれだけの信頼関係が築かれたのは、単に4年間という年月だけが理由ではなかった。
始まりは4年前、ロシターがブレックスと契約する少し前のことだった。ニューヨーク育ちで、シエナ大を出た後、1年はフランスのチーム、もう1年はNBA傘下のDリーグ(現Gリーグ)でプレーしていたロシターは当時、日本のリーグについても、文化についても何も知らなかった。それでもブレックスと契約する決断をした決め手となったのは、田臥との電話での会話だった。
ロシターは当時を振り返る。
「あの時、勇太と電話で1時間くらい話したんだ。彼は僕のプレー動画を見たらしく、いっしょにプレーしたいと言ってくれた。そう言われて、ここに来るのがすごく楽しみになった」
田臥がアメリカでプレーしていた時の縁が……。
実は、ロシターと田臥は不思議な縁で結ばれていた。ロシターの代理人のジャレン・アカナは、田臥がブリガムヤング大ハワイ校でプレーしていた時のアシスタントコーチで、その後、NBAに挑戦した最初の秋にデンバー・ナゲッツのトレーニングキャンプに参加したときには、ナゲッツのアシスタントコーチでもあった。その後アカナはエージェント業に転職し、今では田臥の代理人も務めている。
アカナからの紹介でロシターのDリーグでのプレー動画を見た田臥は、ひと目見て彼のプレースタイルが気に入り、ぜひいっしょにプレーしたいと思ったのだという。
「彼は昔から今のようなタイプの選手だったんですよ」と田臥は言う。賢く、長身の割に器用で、冷静で、それでいて手を抜くことなくハッスルプレーでチームを支える──。チームメイトになると頼もしく感じるタイプだ。田臥も、「彼といっしょにやるようになってもう5年目ですけれど、頼もしいですね」と言う。
ロシターはといえば、最初に電話で話すまで、田臥についてほとんど知らなかった。