“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ついに覚醒、杉本健勇の原点って?
最強のマルチロールが万能型FWに。
posted2017/08/31 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
遅れて来た“プラチナ世代のフィニッシャー”こと杉本健勇が、ついにその仲間達と肩を並べるステージまでやって来た。
「自信がなければ、代表を辞退した方が良い」
積み重ねて来た自信は、覚醒への序章でもあった。C大阪のエースに成長した杉本は、ロシアW杯アジア最終予選の大一番・オーストラリア戦とサウジアラビア戦を戦うハリルジャパンのメンバーに選出され、その意気込みをこう語った。
187cm、79kgの高さとフィジカルを持ち、さらにスピードとボールコントロールに秀でたストライカーである杉本は、育成年代の頃から注目の存在だった。
1992年生まれのいわゆる“プラチナ世代”では、柴崎岳、宇佐美貴史と並んで中心メンバーとして君臨。2008年のAFC U-16選手権、翌年のU-17W杯でも中心的役割を果たすと、高3夏にトップチームと契約。プロキャリアをスタートさせた。そして2011年にJリーグデビューを飾るとリーグ15試合に出場し、2ゴールを挙げ、早くもA契約締結を手にした。
順風満帆に来ていたサッカー人生。しかし、ここから思わぬ停滞が待っていた。
柴崎、宇佐美、武藤、昌子に抜かれたかと見えたが。
2012年3月にはJ2・東京Vに期限付き移籍し、同年のロンドン五輪こそメンバー入りを果たしたが、どちらも思ったほどのインパクトは残せなかった。その後はC大阪を経て川崎に移籍し、2016年にC大阪に再び復帰した。ゴールこそたびたび決めていたが、不動の存在として立ち位置を確立するまでには至っていなかった。
その一方で柴崎は鹿島、宇佐美はG大阪で不動の存在となり、さらに世代別代表ではメーンキャストではなかったFW武藤嘉紀、DF昌子源が急成長し、日本代表に定着。FW久保裕也、浅野拓磨ら年下の選手達にも追い抜かれた感があった。
このまま終わってしまうのか。
しかし24歳になった今年、彼はついに大ブレークを果たしたのだ。