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F1ライセンス取得条件は厳しすぎ?
リザーブドライバー不在に見る問題。
posted2017/08/13 08:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
AFLO
夏休み前、最後の一戦となったハンガリーGPで、ちょっとしたハプニングが起きた。ウイリアムズのレギュラードライバーを務めるフェリペ・マッサが体調を崩して、グランプリの途中で欠場を余儀なくされたのだ。
ただし、そのタイミングが最悪だった。というのも、F1では代役のドライバーがレースに出場するには、決勝前に少なくとも1回はプラクティスセッションに参加しなければならないという規約がある。マッサが欠場を決定したのは、土曜日のフリー走行3回目の直後。つまり、その時点でレースの前に残されたセッションは予選しかないため、ウイリアムズは急きょ代役を探さなければならなかった。
ウイリアムズには、元F1ドライバーのポール・ディ・レスタというリザーブドライバーがいる。リザーブドライバーとは、文字通りレギュラードライバーに不測の事態があった場合の予備のドライバーだ。
リザーブドライバーは常に帯同しているわけではない。
ただしリザーブドライバーは、グランプリ期間中に常にチームと帯同しているわけではない。例えば、マクラーレンはジェンソン・バトンがリザーブドライバーを務めているが、ハンガリーGPにはバトンは不在だった。リザーブドライバーを雇うだけでも高額な報酬が必要になるうえ、その移動費もまかなうとなると、費用は膨大になるからだ。
幸いディ・レスタは、イギリスのテレビ局の解説者としてハンガリーGPに来ていたから、急きょ土曜日のフリー走行3回目終了後から予選までの2時間半の間に、予選に参加するための最低限の準備ができた。これがもしマクラーレンに起きたアクシデントだったらどうなっていたか、と考えると笑い事では済まされない。
これはマクラーレンの危機管理体制が甘いと言っているのではない。たとえば王者メルセデスはハンガリーGPに限らず、今年はシーズンを通してリザーブドライバーが不在だ。その理由のひとつになっているのが、スーパーライセンスの問題だ。