炎の一筆入魂BACK NUMBER
広島を支えるコーチ陣の“3本の矢”。
打撃コーチ・迎祐一郎の愛と厳しさ。
posted2017/08/07 07:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
NIKKAN SPORTS
広島攻撃陣の勢いが止まらない。
昨季優勝に導いた得点力は今年も健在。昨年を上回るチーム打率を記録するなど、進化が感じられる。
今年も攻撃陣を支える3人の打撃コーチ陣の存在が大きい。
歴代11位の2432安打を誇る希代のヒットメーカー石井琢朗を三角形の頂点に、広島一筋で現役17年を過ごし1366安打の東出輝裕と、打撃コーチ補佐から指導歴3年目の迎祐一郎が、絶妙なバランスの三角形を形成する。3人体制2年目となり、選手の指導や練習補助でも連携が取られ、関係性はより強固なものとなっている。
言わばノンキャリア組の立場ではあるが……。
打撃コーチ3人の中でスポットライトを浴びるのは、石井打撃コーチや東出打撃コーチが多い。
石井は輝かしい実績から指導方針やアイデアの引き出しが多く、東出は広島野球を熟知している。いわば“キャリア”組と言える2人に対し、迎は現役時代に輝かしい成績を残したとは言い難い。言わば“ノンキャリア”組だ。
2000年に伊万里商高からドラフト3位でオリックスに入団。1年目から二軍で出場機会を増やし、3年目に一軍デビュー。嘱望された長距離砲だった。'07年にはウエスタン・リーグで3冠王を獲得した。
しかし、一軍で思うように結果を残せないまま、'10年5月に広島にトレードされた。だが、広島でも思うような結果を残せなかった。
在籍5年で約140試合の出場に終わり、'14年オフに戦力外となった。その時に、戦力外通告とともに、翌年からの一軍打撃コーチ補佐としての打診を受けた。