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東京五輪でソフトボールの感動再び!
34歳・上野由岐子は必死で「休む」。

posted2017/06/30 14:20

 
東京五輪でソフトボールの感動再び!34歳・上野由岐子は必死で「休む」。<Number Web> photograph by Nao Nakai

昨季は史上初の日本リーグ通算200勝を達成。かつて121kmを計測して世界最速といわれた速球の力強さは健在だ。

text by

田村航平(Number編集部)

田村航平(Number編集部)Kohei Tamura

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Nao Nakai

 34歳の上野由岐子は、一心不乱に休む。

 6月に青森県弘前市で行われた、ソフトボール女子日本代表合宿での一幕。午前9時から始まった全体練習では、ウォーミングアップの最中に時折「フリー」と呼ばれる5分間の自由時間が挟まれる。

 ダッシュを繰り返す者、チューブでインナーマッスルを鍛える者、ペアになってストレッチをする者、メディシンボールを宙に投げる者……リラックスした雰囲気の中、選手はそれぞれ自分が必要だと思う練習に取り組んでいる。

 そんな弛緩したグラウンドを、早歩きで一直線に横切る姿があった。上野が1人、ベンチへまっしぐら。腰を下ろすと、何もせずに無表情で中空を見つめている。5分という時間は、意外と長い。

 ただ休んでいるだけなのに、その行動からは誰よりも強い意志が感じられた。

試合の後の取材で「もう34歳ですから」。

 この合宿から遡ること1週間、上野は京都市内でリーグ戦に先発していた。

 今季無敗で首位を走るビックカメラ高崎のエースとして、7回2失点の完投勝利。初回に2点を失うも、2回を3者連続三振で切り抜けて波に乗る。以後は打たせて取る投球を貫き、奪三振は合計5個。最終7回に味方打線が勝ち越すまで我慢を続け、123球を投げた。

 試合後、待ち構える記者たちの前に上野はなかなか現れない。

 時間をかけて入念な身体のケアをした後に、「お待たせしてすみません!」と詫びてから質問に答え始めた。

 取材の中で上野がたびたび口にしたのは、「もう34歳ですから」という自虐とも取れる言葉だった。

【次ページ】 あの頃の、鬼気迫るものこそ見えないが……。

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