酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
最も非力な2000本男の“本業”。
荒木雅博、守備記録の上位を独占!?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/06/07 11:30
野球はチームスポーツながら「連係」という表現を使うことは少ない。しかしアライバが見せる守備はお互いの意図を感じ合った絶妙のものだった。
通算安打数で見ても、アライバを凌ぐ二遊間は……。
ちなみに2011年は、年長の井端の負担を考えて井端が二塁、荒木が遊撃を守ったが、この年、守備率は.981と最低の数値になった。やはり「餅は餅屋」だったのだ。中日は翌年、元に戻している。
ずば抜けた守備に加え、アライバコンビは打撃でもチームに貢献した。
中日在籍中の安打数は、荒木雅博が2000本、井端弘和も1807本に達する。
どちらかと言えば、守備が重視される二遊間コンビで、安打数が二人合計で3500本を超えた例は、日本ハムの遊撃・田中幸雄(2012安打)と二塁・金子誠(1627本)、西武の遊撃・石毛宏典(1833安打)、二塁・山崎裕之(2081安打)などがあるが、田中、金子がコンビを組んだのは4年間、石毛、山崎は3年に過ぎない。
その期間の長さ、攻守でのレベルの高さで、アライバコンビに匹敵する二遊間はNPBには見当たらないのだ。
井端が巨人に移籍してからは中日は転落の一途。
広島のキクタナコンビは同級生の27歳コンビだ。アライバコンビにどこまで迫るだろうか。
2012年を最後に、中日の二遊間がそろって規定試合数に達することはなくなった。ポジションが固定できていないのだ。
2014年に井端弘和が巨人に移籍してから、中日は4位、5位、6位と転落の詩集を綴っている。やはり、失った名コンビの穴は大きい。
名門復活のカギは「黄金の二遊間」の再生が握っているのではないか。