酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
最も非力な2000本男の“本業”。
荒木雅博、守備記録の上位を独占!?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/06/07 11:30
野球はチームスポーツながら「連係」という表現を使うことは少ない。しかしアライバが見せる守備はお互いの意図を感じ合った絶妙のものだった。
広島の「キクタナコンビ」も、まだ大きな差がある。
最近の広島は、NPB史上最も広い守備範囲を誇る二塁手の菊池涼介と、成長著しい田中広輔のキクタナコンビで、この記録に迫っているが、まだかなりの数字の開きがある。
<二遊間の守備率、歴代記録>
2005年 ロッテ 堀幸一 小坂誠 .9942(315刺殺、537補殺、5失策)
2001年 中日 立浪和義 井端弘和 .9940(368刺殺、633補殺、6失策)
2004年 中日 荒木雅博 井端弘和 .9929(533刺殺、874補殺、10失策)
1992年 オリックス 福良淳一 小川博文 .9927(394刺殺、553補殺、7失策)
2003年 中日 荒木雅博 井端弘和 .9925(405刺殺、660補殺、8失策)
2005年 中日 荒木雅博 井端弘和 .9925(614刺殺、976補殺、12失策)
2016年 ヤクルト 山田哲人 大引啓次 .9919(429刺殺、675補殺、9失策)
1994年 日本ハム 白井一幸 広瀬哲朗 .9918(478刺殺、726補殺、10失策)
2011年 ヤクルト 田中浩康 川端慎吾 .9915(553刺殺、736補殺、11失策)
2006年 日本ハム 木元邦之 金子誠 .9913(331刺殺、576補殺、8失策)
2004年のアライバコンビは、守備率では、2005年のロッテ、堀・小坂コンビ、2001年のタツイバコンビには、わずかに及ばないが、守備機会数では圧倒的に上だ。しかもアライバコンビは10傑に3回も顔を出している。1年、2年ではなく、長期間にわたって鉄壁の二遊間を作ってきたのだ。
6年連続で2人そろってゴールデングラブ賞受賞の偉業。
アライバコンビは、守備のベストナインである「ゴールデングラブ賞」を、2004年から'09年まで6年連続で、2人そろって受賞している。
他には阪急のマルカーノと大橋穣が2年連続(通算3回)受賞した例があるだけ。まさに空前のコンビだと言えよう。
アライバコンビは2002年から2012年の11年のうち10年間、ともに規定試合数を超えて二遊間を守ったが、中日はこの間に4回優勝している。落合博満監督の「勝利の方程式」には欠かせぬ役どころだったのだ。