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疑惑の敗戦からわずか3日後。
なぜ村田諒太は微笑んでいたのか?
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2017/06/08 14:00
インタビュー時の村田の姿。傷の無い顔、穏やかな笑み……とても3日前に敗戦した選手とは思えない静かな雰囲気だった。
負けたはずの村田の言葉を聞いて、ホッとする!?
今回、約1時間のインタビューで教えられたことがある。
たとえ戦いに敗れたとしても、その敗北の意味を決めるのは他の誰でもなく自分自身であるということ。
物議を醸し、6カ月間の資格停止処分となった2人のジャッジは確かにあの試合を裁く権利があったかもしれないが、その先に続く人生の勝ち負けまで裁くことはできないのである。
村田の顔を見て、その言葉を聞いていたら、有明の夜から胸につかえていたものがいつの間にか消え失せていた。
そういえば、これもボクシング界でよく遭遇することの1つ。
無敗のボクサーよりも、その戦歴に1つか、2つの負けがある者の方がはるかにタフで、したたかで、手強いのである。
Number928号「サッカー日本代表 35人の物語」では、サッカー特集だけでなく、ボクサー村田諒太の独占インタビューを掲載しています。「失ったものは何もない」の真意、そしてこれからの自分について――他のメディアでは読めない本物のコメントが溢れた記事を、是非読んでみて下さい。