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<マドリード・ダービー展望>
ジダンとシメオネ、愛すべき2人のアイコン。 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byGetty Images

posted2017/03/30 12:00

<マドリード・ダービー展望> ジダンとシメオネ、愛すべき2人のアイコン。<Number Web> photograph by Getty Images

4月23日のクラシコ前の大一番、勝つのはどちらだ。

選手時代に対戦した、2人の光景を思い出す。

 2人は一度だけ、レアルとアトレティコの選手としてぶつかったことがある。'03年の12月3日、ベルナベウでのダービーだ。

 いつものように、ジダンは柔らかな美技で好機を演出し、シメオネは荒々しく目の前の敵にぶつかった。“シメオネは退場していてもおかしくはなかった”と、当時の『アス』紙は綴っている。

 その時、ピッチを見ていたファンは、彼らが自分たちのクラブの監督となり、成功を収めるなど、想像できなかっただろう。

 純粋な天才と、熱い削り屋。名指導者になるという予感はなかった。しかし14年後のダービーにも、彼らの姿がある。

 シメオネは観客の声援を求めてスタンドを振り返り、全身で鼓舞するだろう。濃紺のコートのポケットに手を入れたジダンはエレガントに戦況を見つめているはずだ。チームのスタイルがまるで違うのは、彼らの一部が、いまもピッチの上でともに戦っているからだ。

 その戦いがいつまで続くかはわからない。シメオネは今季でアトレティコを去るとも言われている。選手として、監督としてぶつかった男たちの物語は終わりを告げるのだろうか。次のダービーは4月8日。会場を埋める8万の観客は、そうならないことを心のどこかで願いながら、愛すべき2人のアイコンを見つめるはずだ。

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