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岡田武史とFC今治、JFLの壁に直面。
アマチュア最高峰は「2m」違う!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTsutomu Takasu
posted2017/03/10 07:00
JFL昇格を勝ち取る過程で、岡田武史は何度も怒声を発してきた。目標のJ1まではあと3ディビジョン。その1つずつの壁は、想像以上に高い。
「岡田メソッド」は確かにチームに息づいている。
相手のプレッシャーが掛かったところでパスミス、判断ミスが多かった。それにボールを失ってからのファウルが多かったのも確かだ。
一方で、やれたこともある。後半17分に同点に追いついた場面。右サイドの自陣深くからつないでいき、アンカーを経由して左サイドから攻略を試みる。そこに相手が引き寄せられ、空いたペナルティーエリア手前中央のスペースに上がってきたアンカーが入ってきてミドルシュートを決めている。
同30分には左サイドで数的優位をつくってスルーパスを狙った。奪われたボールをペナルティーエリア手前で逆に取り返すと、3人がエリアの中に侵入。複数のパスコースをつくりだしたうえで最終的には左サイドバックがゴールを挙げている。
流れのなかからアンカーと左サイドバックがゴールを決めたあたりは面白い。パス、仕掛け、ポジション取りで優位性を保とうとする「岡田メソッド」の一端は、垣間見えた。
ただその6分後、裏に長いボールを出されて対処できず、抜け出した相手に同点ゴールを決められてしまったのはいただけない。このシーンのみならず、終盤のバタバタぶりに失点のにおいは漂っていた。
吉武監督は「(JFLを)経験して、なおかつ勝ち点1を取れたのであれば、1年間の修正という意味では良かったかなと思う」とオーナー同様の見解を示している。
不用意、不注意は不慣れのうちと考えれば、想定外は想定内のうちと捉えることもできる。JFLで戦う教訓を得たうえでの勝ち点1は、「想定以上」の収穫だったと言えるのかもしれない。