ぼくらが野球遠征に出る理由。

　午前零時過ぎ、大浴場でひとっ風呂浴びて、カプセルホテルの天井をひとり眺めながら一息つく。

　この空間に寝るのはバイトしていた時以来、十数年ぶりだ。勤務中、2時間の仮眠を空いてるカプセルで取る。懐かしい。学生生活が終わったら人生も終わりと思っていたあの頃の自分に「大人は楽しいぞ」と教えてあげたい。ひとり旅とは過去の自分や今の現実と向き合う儀式でもある。今シーズンは北海道から九州まで、ぶらりひとり野球遠征に行こう。

　ふと現実に返り、オープン戦の様子をスポーツニュースで観ようとカプセル内のテレビをつけようとしたら、リモコンの電池切れか反応しない。フロントまで行って代えてもらおうかと思ったけど、まあいいやとすぐ諦めた。

　なんくるないさー。

　寝て起きたら、明日もセルラースタジアムだ。