「いつか、RIZINの女子大会をやれたらって……」

　もう一つ必要なのは、メディアの注目だ。藤井が育てた浜崎朱加はアメリカの女子イベント『インヴィクタ』で世界王者となり、防衛を重ねている。しかし、このマスターピース、“ラスベガスで世界戦を制した日本人”を知っている人が、コアな格闘技ファン以外にどれだけいるだろう。

　だが、RIZINが女子部門を作ったこと、そこにRENAが名を連ねたことで状況は激変した。メディアも注目する、目指すべき舞台がそこにある。すべての女子ファイターが望んでやまなかった舞台が。

　藤井が開拓した道があった。浜崎が“女子の強さ”の上限を更新した。RENA自身も、シュートボクシングで最大限の努力をしてきた。そうした歴史の上に“年末RIZINで女子5試合”という果実がある。

　それを分かっているから、まだ満足するわけにはいかない。自分がスターになるだけでなく、女子格闘技というカテゴリー自体を盛り上げたい。

「いつか、RIZINの女子大会をやれたらって思ってます」

　野望というより使命感、あるいは責任感だろう。RENAはそういう選手で、だからRIZIN女子のエースにふさわしい。