濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
女子格闘技は美しくて逞しいのだ!
RIZIN皆勤賞のRENA、その使命感。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byChiyo Yamamoto
posted2016/12/24 07:00
メインを務めた『S-cup』では、イベントで共演したアイドルグループ・アップアップガールズ(仮)も応援に。知名度の上昇につれ活躍の場も広がった。
高田延彦も「RENA選手の頑張りが大きい」と絶賛。
「去年の年末は女子が2試合。ですが今年は5試合組まれてます。その状況ができたのは、RENA選手の頑張りが大きい」
高田延彦統括本部長は、そんな言葉でRENAを称えた。彼女は以前から「私が女子格闘技を引っ張る」と言い続けてきた。それだけに、今の盛り上がりを逃したくないという思いも強い。
大晦日のハンナ・タイソン戦は今年5試合目。下半期だけで7、9、11、12月と4試合だから過密スケジュールと言っていい。しかもシュートボクシングとMMAの試合を交互に行なっている。疲労度は並ではないはずだ。
「でも、1月は休養するって決めてるんで大丈夫です。求められてるときに頑張らなきゃ。MMAだと(シュートボクシング王者として)ヘタな負け方はできないっていう緊張感があるので、それが刺激にもなりますし。それに楽しいんですよ。記者会見とかも含めて、全部楽しい」
記者会見での発言、ブログやSNS、それにもちろん試合。今はやることすべてに大きな反応がある。頑張ったら頑張っただけの手応えがある。そんな実感が選手にとって大きな力になるのは間違いない。
かつて女子格闘技は“上”がない世界だった。
11月の試合は、シュートボクシングのトップ選手が集う『S-cup』で行なった。RENAが登場したのはメインイベント。エース・鈴木博昭が出場する世界トーナメントやアンディ・サワーの試合もある中での“大トリ”。今の彼女には、それだけの実力とネームバリューがあると判断されたのである。
かつて女子格闘技は“上”がない世界だと言われてきた。いくら強くても、どれだけ勝っても、男子にとってのK-1やPRIDEのような大舞台がない。目標を見失ってリングから離れる選手もいた。RENAにしても、モチベーションが低下して「専門学校にでも入ろうかな」と考えた時期があるという。
女子MMAの世界的パイオニアである藤井惠は、こう語っている。
「女子は層が薄いから大きなイベントができないって言われますけど、逆だと思います。舞台があれば、選手はそこを目標にしてどんどん出てくるんですよ」