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「ミスした時ほど平常心でいろ」
戸柱恭孝、DeNA1年目で得た逞しさ。
posted2016/12/16 07:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Naoya Sanuki
アレックス・ラミレス監督は先日行ったインタビューのなかで、捕手の戸柱恭孝についてこう語っていた。
「情報を記憶する能力が誰よりも長けていたのが戸柱だった。(中略)チームを変えるためにはキャッチャーを替えることがいちばん重要だという思いがあり、まずは戸柱1本でやっていきたいと考えた」
捕手が替わればチームが変わる。そう構想した指揮官のお眼鏡にかなったのがルーキーの戸柱だったのだ。開幕スタメンに始まり、124試合に出場。球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献し、監督の目論見どおり「チームが変わった」ことを象徴する選手のひとりになった。
ラミレスが高く評価する知力や、ブロッキング等の技術、体力は捕手にとって重要な要素であることは間違いないが、それ以前に欠かすことのできない能力がコミュニケーション力だろう。投手との関係構築はもちろん、チームの中心選手として、言葉や、言葉にならない思いを常に発する力。戸柱は最初から、その力が光っていた。
他の新人から「怖い顔してるから怖がられてた(笑)」
戸柱は入団間もないころの思いを、こう明かす。
「もちろんプレーも大事ですけど、そこ(コミュニケーション)はいちばん重要視してましたね。自分をしっかり出していかないといけない、新人のなかでもぼくが雰囲気づくりをしないといけないと。ベイスターズ自体が若いチームだし、ぼくは1年目だけど年齢は上なので(入団時25歳)、気軽に話し合えて溶け込みやすかった。でも、年下の子たちに聞くと、最初はめちゃくちゃ怖がられてたらしいです。(石田)健大も、クワ(桑原将志)も、関根(大気)も、そう言ってました。まあ社会人で3年やって、こんな怖い顔してたら警戒しますよね(笑)」