千代勝正の名言 

プレイステーション用レースゲーム『グランツーリスモ』は実際の車の挙動をリアルに再現し、シミュレータとしてもかなりの精度を誇る。その『グランツーリスモ』のトッププレイヤーのなかから、日産レーシングチームのドライバーになれる才能を発掘・育成しようというのが「GTアカデミー」という大会だ。ゲーム大会の優勝者がプロドライバーに？ 訝る向きもあるだろうが、すでにこの大会の第1回欧州王者であるスペインのルーカス・オルドネスが実際にプロデビューを果たしている。日本チームをサポートしたNISMO所属のプロドライバーである千代も、「現在のレース界では、レースゲームをより高度にしたようなドライビングシミュレータという装置を使ってのトレーニングが当たり前のように行われています。グランツーリスモは、それにかなり近いレベルにあると思いますよ」と証言する。「今後はグランツーリスモの熟練度が、カートでの経験と同様に評価されるようになるのかもしれません。ゲーマーからいきなりレーサーというのはさすがに無理でしょうが、レーサーの発掘機関として、GTアカデミーはとても優れたシステムではないでしょうか」。レース界におけるバーチャルとリアルの境界線はすでに消滅しているのかもしれない。

Number894号(2016/01/21)