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なぜ日本マラソン界はダメになった?
「福岡国際マラソン」からの再出発。
text by
折山淑美Toshimi Oriyama
photograph byNanae Suzuki
posted2016/12/02 08:00
新しく、長距離・マラソン強化戦略プロジェクトのリーダーに就任した瀬古利彦氏に期待がかかる。
駅伝重視の中、年々減っていくマラソン大会出場者。
男子の世界選手権・代表選考レース第1弾である12月4日の福岡国際マラソンは、日本人の出場選手を見ると少々寂しい状況になっている。
今年で70回目となるこの大会は、かつては実質的なマラソン世界一を決める大会として世界中の選手が目標にする大会でもあった。
『日本のマラソンはなぜダメになったのか』の中で、現在のマラソン界の問題点について語っている歴代の日本記録保持者たち――宗茂、瀬古利彦、中山竹通、児玉泰介、藤田敦史、高岡寿成らがしのぎを削ってきた大会として、立派な伝統もある。
だが近年は選手やチームが駅伝を重視するようになったことで、有力選手の出場は激減しているという。かつてのように、このマラソン大会で勝負して、その後の駅伝もしっかり走る……というタフな選手はいなくなっているのだ。
3連覇を狙うマカウ、'15年世界2位のツェガエが出場。
注目選手のひとりだった川内優輝が、右ふくらはぎを痛めたために2月の東京マラソンへスライドするかもしれない状況になっている福岡国際マラソン。
海外選手は、元世界記録保持者で大会3連覇を狙うパトリック・マカウ(ケニア)や'15年世界選手権2位のイエマネ・ツェガエ(エチオピア)などの強豪が出場する。その中で、ベテランの前田和浩などが、他の日本人選手たちに危機感を持たせるような驚くべき走りをして、変革への期待感を高めてくれるかどうか――見所はその一点に絞られる。
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日本記録を更新した7人の侍の声を聞け!
男子マラソンの日本記録が14年も更新されていないのをご存じだろうか。それでもなお、リオ五輪の男子マラソン中継は視聴率ナンバーワンだった。ちなみに女子マラソンは3位。日本人のマラソンへの興味は尽きることがない。
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