ニッポン野球音頭BACK NUMBER
観衆20人、報道2組、夜遊び無し。
DeNA秋キャンプがストイックだ!
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/11/18 12:30
CSで奮闘を見せた今永も、秋季キャンプで汗を流して2年目の来季を見据えている。
“凡事徹底”の午前、練習の強度が上がる午後。
午前中の練習メニューは主に、ウォーミングアップから投内連係、そして「Team Batting」と続く。これこそ、チームとしてのテーマ“凡事徹底”を体現するメニューといえる。
たとえば1死一、三塁、カウント1-1のシチュエーションを設定して、打者には1球ごとにセーフティスクイズやヒッティングなどのサインが出される。いかに確実に三塁走者を生還させられるか、進塁させられるかの実戦的な練習だ。
打者が決められた回数、打席に立ち、全員が終わってから昼食の時間になる。チーム関係者によれば、第1クールではもうちょっとランチの時間が遅かったというから、この2週間ほどで各々の精度は向上してきているのかもしれない。
練習の強度がいっきに上がるのは午後からだ。
打者はとにかくバットを振る。ティー、フリー、ロングティー。室内練習場に移動して、またバッティング。投手はブルペンでの投げ込みや、シャドウピッチング、バント練習などにじっくりと時間をかける。練習が終わる時間は投手陣の方がやや早いが、彼らはおよそ5km離れた宿舎まで走って帰るのが基本だ。
ただ「野球」がそこにある、という感覚に。
練習の様子を見ていると、プロ野球から「プロ」を取って、ただ「野球」がそこにある、という感覚になった。
観衆も取材陣もほとんどいないだけでなく、奄美には、たとえ中心街でも派手な夜遊びができそうなところはない。ひたすら野球に打ち込むにはうってつけの環境といえる。
黒く日焼けした今永昇太は言った。
「秋季キャンプには初めて参加するんですけど、レギュラーシーズンではできなかった練習ができる。野球人生において、こうやって野球を凝縮した期間っていうのはあまりないと思うので、あらためて野球の難しさ、楽しさを再確認できてるなって。充実感はすごくありますね」